定期預金にはまとまったお金があるのだけど、普通預金の残高がほとんどなく生活に困ったり、突発的な出費に対応できなかったりすることがありますよね。
そういうときに、定期預金を解約するかどうか迷っている人もいるかと思いますが、実はその定期預金を担保にお金を借りることができます。
それが銀行や郵便局の貯金担保自動貸付・定期預金担保貸付と呼ばれる貸付けで、とても簡単に利用できるのですが、意外と知られていない借り方でもあります。
ここではそんな預金通帳を担保にしたお金を借りる方法についてご紹介します。
Contents
このページでわかること
定期預金を担保にしてお金を借りることができる預金担保貸付。
総合口座通帳で管理している定期預金(定期貯金・定額貯金)があれば、申し込みも不要で定期預金額の90%までを自由に借りることができるとても魅力的なサービスです。
利用方法も返済方法もとても簡単で、銀行などのATMで普通預金口座から必要な額を引き出すだけで自動的に融資を受けられ、普通預金口座に入金があれば自動的に返済に充てられます。
カードローンやフリーローンよりも低金利で借りることができ、金融事故を起こした人でも利用できます。
ただし借りすぎてしまうリスクがあり、さらには定期預金で得られる利息よりも、預金担保貸付で支払う利息のほうが大きくなることもあるため、短期での返済を心がけて利用する必要があります。
預金通帳を担保にお金を借りるときの基礎知識
預金通帳を担保にお金を借りる預金担保貸付と、無担保でお金を借りる金融機関のカードローンなどの金融商品とでは根本的な考え方の違いがあります。
どのような違いがあるのか、預金を担保にお金を借りるときの基礎知識を見ていきましょう。
預金担保貸付とは
銀行や郵便局が預金を担保にお金を貸す預金担保貸付。
どの金融機関でも共通しているのは定期預金などを担保にするという点です。
自由に動かすことができる普通預金は借りる側にも貸す側にもメリットがないため、定期預金が担保になっています。
預金担保貸付の特徴ははカードローンなどの金融商品とは違い、預貯金に付随するサービスのひとつだということです。
銀行や郵便局は預金残高を増やすために、できるだけ定期預金を解約されたくありません。利用する人もできるだけ満期まで預けたいですよね。
両者の思惑の一致から生まれたサービスが預金担保貸付です。
定期預金を担保にしてその範囲内で貸付けをすれば、銀行や郵便局にしてみればリスクはゼロです。
返済できなくなったら定期預金から回収すればいいだけですので、カードローンのように面倒な審査をする必要もありません。
しかも、定期預金よりも高い金利で貸し付ければ、利息収入も得られます。
借りる側にしてみれば、定期預金の解約もせず、審査もなく手軽にお金を借りられますので、とてもありがたいサービスになっています。
預金担保貸付を利用する条件と仕組み
預金担保貸付を利用する条件は1つだけです。
「総合口座で管理している定期預金がある」これさえ満たしていれば、誰でも利用できます。
定期預金があるけど総合口座で管理しているかどうか分からないという人は通帳を見てみましょう。
普通預金口座と同じ通帳で管理していれば総合口座です。
定期預金用の通帳で管理している場合や証書式の定期預金でも預金担保貸付を利用できることもありますが、取り扱っていない金融機関が多いため、利用できるかどうかの確認が必要です。
使い方はとても簡単で、普通預金口座から必要な額を引き出したり引き落としたりするだけで、自動的に融資されます。
例えば普通預金口座の残金が1万円の状態で、3万円引き出したら2万円が自動的に貸し付けられるという仕組みになっています。
返済方法も簡単で、普通預金口座に入金があれば、借りた金額と利息分が自動的に返済に充てられます。
預金通帳を担保にお金を借りる方法の種類と金利
預金通帳を担保にお金を借りられるサービスはゆうちょ銀行の貯金担保自動貸付とその他の金融機関の定期預金担保貸付に分けられます。
貯金担保自動貸付
貸付金利 | 担保定額貯金を担保とする場合:返済時の約定金利(%)+0.25% 担保定期貯金を担保とする場合:預入時の約定金利(%)+0.5% |
貸付金額の上限 | 預入金額の90%以内(1冊の総合口座通帳につき300万円まで) |
貸付期間 | 貸付けの日から2年もしくは貯金の満期 |
ゆうちょ銀行で管理している担保定額貯金や担保定期貯金を担保とする貸付けです。
担保定額貯金や担保定期貯金という言葉は聞き慣れないかもしれませんが、自動貸付けが可能な定額貯金や定期貯金で、総合口座(普通預金口座の通帳)に預け入れしているものがこれに該当します。
ちなみに、定額貯金や定期貯金を普通預金口座の通帳とは別の専用通帳(赤い通帳)で管理している場合には、貯金担保自動貸付に利用できません。
定期預金担保貸付(個人)
貸付金利 | 預入時の約定金利(%)+0.5%もしくは変動金利(1.5〜2.0%) |
貸付金額の上限 | 預入金額の90%以内(最高額は金融機関による) |
貸付期間 | 金融機関による |
銀行や信用金庫などが行っている個人向けの預金担保貸付です。
「自動借り入れ」「自動貸付」「口座貸越」と呼ばれることがありますが、名称が違うだけで、基本的にはゆうちょ銀行の貯金担保自動貸付と同じでサービスです。
利用条件や金利は金融機関によって違いがあります。
例えば貸付金額の上限はどの金融機関もゆうちょ銀行と同じ預金の90%までとしていますが、銀行によっては上限の範囲内で借りられる最高額を900万円としていたり、公共債と合わせて400万円としていたりするなどの差別化が行われています。
定期預金担保貸付(法人)
上記の2種類は個人向けの定期預金担保貸付で、預入金額の90%以内という制限がありますが、ビジネス用途の場合には、預入金額の3倍程度の融資を受けられることがあります。
例えば、1000万円を定期預金として預けることで3000万円の融資を受けられます。
法人向けの定期預金担保貸付は、会社として銀行からお金を借りるときに、銀行からの融資条件として求められるものになります。
個人への融資とは違い、決まった金利や上限があるわけではなく、借入条件は交渉によって決定します。
貯金担保自動貸付・定期預金担保貸付を利用するための流れ
もし定期預金(定期貯金・定額貯金)を総合口座で管理しているのであれば、利用申込をする必要はありません。
銀行や郵便局のATMで普通預金口座から必要な金額を引き出せば自動的に借り入れることができます。
定期貯金を専用口座や証書で管理している場合には、銀行の窓口での手続きが必要です。
通帳もしくは証書、印鑑、免許証などの本人確認書類を用意して、営業時間内に銀行の窓口で手続を行ってください。
預金通帳を担保にお金を借りるメリット・デメリット
預金担保貸付を利用する前に、メリットとデメリットをきちんと把握しておきましょう。
カードローンと同じような感覚で利用すると、思わぬ失敗を招くこともあります。
メリットとデメリットをそれぞれご紹介しますので、しっかりと頭に入れておきましょう。
メリット
- 定期預金を解約せずに済む
- 低金利で借りることができる
- 審査がなく確実に利用できる
預金を担保にしてお金を借りる最大のメリットは、定期貯金を解約せずに済むということです。
定期貯金は中途解約すると金利が下がってしまいますので、得られる利息が減ってしまいます。
後少しで満期という人にとってはとても大きなメリットになります。
また、カードローンやフリーローンよりも金利が低いというのも嬉しいところです。
現在は定期貯金でも金利が年0.01%程度ですので、年0.51%で借りることができます。
カードローンなら年10%くらいの金利はあたり前だと思うと、これを活用しない手はありません。
そしてなによりも、審査もなく借りられるというのが大きな特徴になります。
預金担保貸付は金融商品ではなく預貯金に付随するサービスですので、金融事故を起こしてブラックリストに載っている人でも利用できます。
しかも総合口座通帳で管理していれば申し込みすら必要ありません。
デメリット
- 自動貸付なので借りすぎてしまうことがある
- 定期預金残高が少ないと借りられる金額も小さい
- 満期までに返済する必要がある
メリットの大きな預金担保貸付ですが、もちろんデメリットもあります。
自動貸付かつ返済の催促もありませんので、借りているという意識がないまま、知らないうちに借りすぎてしまうということがあります。
借りすぎてしまうとは反対に、定期預金への預け入れが少ないとほとんど借りられないというデメリットもあります。
さらに、満期までに返済しなくてはいけませんので、満期が近いタイミングでの借り入れた場合には、返済期間が短くなってしまいますので注意してください。
預金通帳を担保にお金を借りるときには短期返済を心がける
定期預金を解約せずに低金利でお金を借りられる預金担保貸付。
とても便利なサービスであることを理解してもらえたかと思います。
でも使い方を間違えると、貸付けしてもらうよりも定期預金を解約したほうが得だったというようなこともあります。
定期預金でも金利は0.01%程度ですので、税抜き後の利息は796円にしかなりません。
ところが預金担保貸付で50万円を借り続けた場合の利息は2550円にもなります。
796円を欲しいために2550円払うというのは明らかに損をしていますよね。
このように預金担保貸付を使って長期間の借り入れすると、損をするケースが発生します。
これでは意味がありませんので、きちんと利息計算をしてから利用しましょう。
短期返済が可能な場合には魅力的なサービスですが、返済が長期になる場合には定期預金を解約することも選択肢のひとつとして考えておきましょう。