どうしても今すぐお金が必要だけど、金融機関では借りられそうもない。
そういうときに頼りになるのが質屋です。
ブランドバッグや高級時計を預ければ、それに見合った金額のお金を借りることができる質屋。
でもこれまで1度も使ったことのない人は、いきなり大切なブランド品を預けてお金を借りるというのは不安ですよね。
ここではそんな不安を解消するために、その仕組みやメリット・デメリットをお伝えしながら、質屋からお金を借りる方法についてご紹介します。
Contents
このページでわかること
大きな街では必ずと言っていいほど店舗がある質屋。
お金を借りることのできる場所のひとつですが、金融機関から借りる場合と違って、お金をかりるのには担保を預けなくてはいけません。
さらに、金利がかなり高く設定されていますので、3ヶ月以内の返済できない場合には、利息がかなり大きな学になってしまいす。
さらに返済困難となり利息の支払いすらできなくなると、質流れして所有権を失ってしまいます。
基本的には、金融機関から借りることができない人のためのお金貸しで、金融機関で断られた場合、30分以内にお金を用意しなくてはいけないといった緊急性が高い場合以外の利用には適していません。
どうしても借りる場所がない場合のセーフティネットとして活用しましょう。
質屋からお金を借りるために知っておくべき基礎知識
それではまず、質屋からお金を借りられる仕組みや、利用するときの金利など基本的な知識について説明していきます。
質屋の仕組み
質屋は担保になるものを預かり、担保の価値に見合ったお金を融資するお金貸しです。
例えば高級腕時計を質屋に持ち込んだとします。
これを質屋が査定して、融資額を決めます。
融資額が50万円で、1ヶ月の利息が1.5%だとしたら、1ヶ月後までに50万円と利息分の7,500円を合わせて返済します。
利息は日割りしてもらえる質屋もあれば、日割りなしになる質屋もあります。
1ヶ月後に返済できなくても、利息分の7,500円だけ払えば返済日を1ヶ月伸ばせます。
質屋で借りたお金と利息を合わせて返済期限までに返すことができれば、担保にしていた物(質物)が手元に戻ってきます。
もし返済期限までに利息だけでも返せなかったときには、質物の所有権は質屋に移ります。
質屋さんは質物を売ることによって貸したお金を回収します。
ブランドバッグや貴金属などが、質屋で売られているのを目にしたことがあるかと思います。
あの商品はすべて、返済できなかったことによって、質屋に所有権が移った質物(質流れ品)ということになります。
質屋の金利
質屋の金利は借りる金額によって変わりますが、1.0〜5.0%くらいに設定されています。
銀行よりもかなり低金利と思うかもしれませんが、これは年利ではなく月利です。そう考えるとかなり高金利であることが分かります。
質屋の金利は貸金業とは異なり、法定の上限金利である日0.3%、年109.5%が適用されるため、月9%までの金利が認められています。
ただし、この金利の考え方については司法でも解釈が分かれており、利息制限法を超えた金利は返還すべきという裁判例もあります。
このため、いずれ消費者金融の過払い金のように返還指示が出される可能性があるため、最近では以前のような月9%というような金利は減っています。
これにより、大手であれば月3%以下でも借りられるようになっています。
質屋の種類
質屋の種類としては下記のような分類ができます。
- 昔ながらの個人経営の質屋
- 質屋大手チェーン店
- ネット質屋
法的な区分けがあるわけではありませんが、江戸時代から続いているような歴史のある個人経営の質屋、大黒屋のような資本を投入してシステマチックに経営されている質屋大手チェーン店、そしてインターネット時代に出てきたネット質屋です。
厳密にはネット質屋というのは、法律上は成立しません。
査定まではインターネットで行うことができますが、実際の物とお金のやりとりは対面でしなくてはいけません。
このため、ネット質屋として出てきたサービスはグレーゾーンのものが多く、あまりおすすめできません。
このため、通常使うのは昔ながらの質屋か大手チェーン店ということになります。
昔ながらの質屋は人情味が残っていることが多く、何度も利用している人に対しては、信用ベースで担保価値以上にお金を貸すことがあります。
一方の大手チェーン店は、しっかりと査定をして質流れになる前提で、融資額を決定します。
利益重視ですので、質だけでなく買取りや仕入れも行い、最近では外貨両替までも行っています。こちらは大手という安心感もあり、コンビニのように手軽に利用できるという魅力があります。
質屋からお金を借りる流れ
質屋でお金を借りる流れについてすでに少し触れていましたが、もう少し詳しく借りてから返済までの流れをご紹介します。
STEP1.来店
STEP2.質屋による査定
STEP3.現金と質札を受け取る
STEP4.期限までに借りたお金と利息を返済
STEP5.預けたものを返却
返済期限は質屋によって違いますが、一般的には1ヶ月後もしくは3ヶ月後に設定されています。
その返済期限までに返せなくても、利息だけ払えば質流れするのを延長してくれる質屋もありますが、法律で質預けの保管期間として定められているのは3ヶ月までです。
このため、3ヶ月間利息も払わずに放置していると、連絡もなく自動的に質流れになってしまい、返却は不可してもらえなくなります。
ただし、質流れすると貸付金も利息も返済義務がなくなります。
質屋を利用するメリットとデメリット
お金を貸してくれる金融機関はいくつもあるのに、あえて金利の高い質屋を利用する人がいるのは、もちろん金融機関にはないメリットがあるためです。
また、同時にデメリットもありますので、ここではメリットとデメリットをそれぞれご紹介していきます。
メリット
- 18歳以上なら誰でもお金を借りられる
- 返済を催促されることがない
- 即日でお金を手にすることができる
この3点が質屋を利用するメリットです。それぞれのメリットを簡単に説明します。
18歳以上なら誰でもお金を借りられる
消費者金融や銀行は信用でお金を貸していますので、借りたいという人を審査します。
収入や勤務先、過去に金融事故を起こしていないかまでをチェックして、絶対に返済が滞らないと判断した人にだけ融資を行います。
ところが質屋は返済できなくても損をしないシステムですので、基本的には誰にでもお金を貸してくれます。
返済を催促されることがない
法律により、質屋は返済を催促することができません。
もっとも担保を手にしていますので、返済を催促する必要性もありません。
金融機関から借りたお金の返済が1日でも遅れると、すぐに催促の連絡があり、煩わしさを感じてしまいますが、質屋ならその煩わしさがありません。
ただし、まったく連絡してこないので、返済日を忘れてしまって質流れさせてしまうということもよくあるので注意してください。
即日でお金を手にすることができる
最近は消費者金融で即日融資をしてもらえることもありますが、審査がありますので申し込み当日の融資ができないケースもあります。
質屋はその場で査定してもらい、その場で貸してくれますので、混雑していなければ30分もかからずにお金を借りることができます。
デメリット
- 返済の利息が大きくなる
- 預けたものが戻ってこなくなる可能性がある
- 預けられるものが限られている
こちらが質屋を利用する上でのデメリットになります。デメリットについても、それぞれ簡単に説明していきます。
返済の利息が大きくなる
最近は質屋の金利も大きく下がっていますが、それでも年利で考えるとかなり高額な利息を払うことになります。
短期間で返済できる場合はいいのですが、質預けの延長を繰り返していると、利息の合計がかなりの金額になってしまいます。
短期返済できないのであれば、利用はあまりおすすめできません。
預けたものが戻ってこなくなる可能性がある
返済期限までに返せなかったら、質流れします。もし親の形見を質預けしてしまい、不注意で返済期限を忘れてしまったら、その形見は手元に戻ってくることはありません。
どれだけ大事な物でも戻らなくなる可能性がありますので、絶対に手放したくないものは質入れしないようにしましょう。
預けられるものが限られている
質に預けられるものは換金性の高いものに限られます。
ブランドバッグや貴金属、高級腕時計など、そもそもの価値が高く、なおかつ価値が急激に落ちないものでないと、担保にしてもらえません。
以前は大工さんが商売道具を質に入れたなんて話もありますが、現代ではまずありえません。
それなりに価値のあるものを持っていないと質入れできませんので、実際には質入れできるような高級品を持っている人しか利用できないというデメリットがあります。
質屋と買取はどうちがうの?
手元にある物を使ってお金を手にする方法は、質以外にも買取という方法があります。
この買取と質はどうちがうのでしょう?質流れしたら買取と同じような状態になりますが、両者には違いがあるのでしょうか?
- 質屋…物を質にしてお金を貸し付けする
- 買取店…物を買い取りして販売する
最近は質屋が買取も行っていますので、どちらも一緒だと思っている人もいるようですが、実は質屋営業で行えるのは前者だけで、買取をする資格がありません。
買取をするには古物商営業許可を取得する必要があります。
同じものを質屋と買取で査定してもらった場合、一般的には買取のほうが高値がつきます。
質屋は質流れをする前提で査定額を提示し、さらに質流れしたあとの相場変動も考慮しますのでどうしてもリスク回避で低い査定額を提示することになります。
また、買取は必ずしも店舗で行う必要はありませんが、質屋は店舗での取り引きが必須です。
このように質屋と買取は似ているようでも、手にすることのできる金額や、使い勝手に違いがあります。
基本的な使い分けとしては、質入れするものを回収したいかどうかで決めてください。
もう使うこともないブランドバッグなどであれば、少しでも多くお金を手にすることのできる買取がおすすめですが、思い出の品のような大切なものであれば、質屋の利用が適しています。
ただし、返済できない場合は質流れしますので、質屋は計画的に利用しましょう。
質屋はいざというときのセーフティネット
ここまでの説明で、質屋についての知識をしっかりと把握できたかと思います。とても金利が高く、基本的にはお金の借り先としてはあまり良い場所とは言えません。
ただ、下記のいずれかの条件に当てはまる場合には、むしろ質屋を利用するしかありません。
- 金融機関から融資をしてもらえない
- 今すぐにお金を手にしたい
どこからもお金を借りられなかった人、今すぐにお金を用意しなくてはいけない人のセーフティネットとして、質屋があると考えてください。
金融機関からすぐに借りられるなら、あえて質屋からお金を借りる理由はどこにもありません。
ブラックリスト入りするなどして金融機関を使えない。あと30分以内にお金を用意できないと大きな問題になる。そういう場合に質屋を活用してお金を借りるようにしましょう。
ただし、3ヶ月以内に返済できないと利息が積み重なっていきますので、返済が難しい場合には、買取での利用も検討してください。