障害者の方を雇う会社も増えてきましたが、それでも選択肢が限られますしそもそもフルタイムで働くのが難しいという人もいますよね。
でも、生活をしている以上は普通の会社員と同じように思わぬ出費が発生することもあり、お金を借りたくなることありますよね。
でもフルタイムで働くことができず、収入があまり多くないという障害者の方には、銀行や消費者金融がお金を貸してくれないこともあります。
そんなとき、どこからお金借りるのがいいのかについてここでは詳しく説明していきます。
Contents
このページで分かること
障害者がお金を借りる方法として生活福祉資金貸付制度があります。
ただし、低所得者世帯でない場合には、生活福祉資金貸付制度で生活資金を借りることはできません(福祉資金は可)。
十分な収入がある場合には金融機関のカードローンもしくは年金担保融資を利用しましょう。
カードローンを利用するときには、障害者であることを伝える必要はありません。
このため、十分な収入があるなら、健常者と同じ条件でお金を借りることができます。
ただし障害者であることが伝わっていないと、審査を上手く進められないケースがあります。
自分の障害の種類や程度を考えて、サポートが必要な場合には障害者であることを伝えた上で申し込みを行いましょう。
生活福祉資金貸付制度を利用してお金を借りる
障害者の方は民間の金融機関からお金を借りにくいということで、国がきちんとセーフティネットを用意しています。
それが生活福祉資金貸付制度で、障害者だけでなく、低所得者や高齢者のいる世帯が利用できる貸付制度です。
どうすればこの制度を利用できるのか、特徴や種類なども合わせてご紹介します。
生活福祉資金貸付制度とは
生活福祉資金貸付制度は低所得者や高齢者、障害者の生活を経済的に支援し、在宅福祉や社会参加の促進を図るための貸付制度です。
ポイントは「貸付」ということで、借りたお金はきちんと返す必要があります。
このため、収入がない人は利用できないので注意してください。
貸付対象
- 低所得者世帯
- 障害者世帯
- 高齢者世帯
この3つの世帯が、生活福祉資金貸付制度の貸付対象となっています。
障害者世帯の定義としては、「身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた者等の属する世帯」となっています。
貸付資金の種類
生活福祉資金貸付制度には、総合支援資金、福祉資金、教育支援資金、不動産担保型生活資金の4種類がありますが、障害者世帯として借りられるのは福祉資金のみです。
住居の移転等に必要な経費 | 50万円以内 |
障害者用自動車の購入に必要な経費 | 250万円以内 |
住宅の増改築、補修等に必要な経費 | 250万円以内 |
福祉用具等の購入に必要な経費 | 170万円以内 |
障害者サービス等を受けるのに必要な経費 | 170万円以内 |
就職の支度に必要な経費 | 50万円以内 |
生業を営むために必要な経費 | 460万円以内 |
技能習得に必要な経費 | 110万〜560万円 |
障害者自動車の修理に必要な費用 | 50万円 |
生活費は借りられないの?と思うかもしれません。
生活福祉資金貸付制度で生活費を借りることができるのは低所得者世帯だけです。
もし市町村民税非課税くらいの所得しかないのであれば、低所得者世帯として生活費を借りることも可能ですが、障害者というだけで生活費を借りることはできません。
貸付金利
- 連帯保証人あり:無利子
- 連帯保証人なし:年1.5%
生活福祉資金貸付制度を利用する流れ
生活福祉資金貸付制度を利用する流れは下記の通りです。
STEP1.区市町村の社会福祉協議会または民生委員に相談
STEP2.民生委員による面接
STEP3.申込み
STEP4.都道府県の社会福祉協議会による審査
STEP5.貸付決定
STEP6.借用書提出
STEP7.資金交付開始
利用する前にはまず区市町村の社会福祉協議会または民生委員に相談し、民生委員が借入れの必要があると判断した場合に申込みできます。
このため、まずは相談することから始めてください。
ちなみに申込みから資金交付まで1ヶ月程度の時間がかかります。
生活福祉資金貸付制度を借りるときの注意点
連帯保証人がいれば無利子でお金を借りられる生活福祉資金貸付制度ですが、障害者世帯が利用するにあたってはいくつかの注意点があります。
- 個人ではなく世帯全体の状況で融資の可否が決まる
- 返済の見込みがない場合には利用できない
この制度でお金を借りるときには、世帯全体での収入をチェックされます。
このため、障害者本人に収入がなくても、世帯内に十分な収入がある人がいる場合には融資を断られることもあります。
反対に、日常的に世帯の生活費が不足している場合にも利用できません。
明らかに返済が難しい貸付は行ってくれませんので、少なくとも世帯全体で安定した収入があり、そのうえでまとまったお金が必要になったときだけ利用できる制度と考えてください。
銀行や消費者金融のカードローンを使ってお金借りる
生活福祉資金貸付制度で障害者として借りることができる資金の種類には限りがあり、個人的な買い物や旅行などの資金、生活費の補填などには使うことができません。
そのようなお金を借りるのであれば、銀行や消費者金融のカードローンを利用することになります。
でも、民間の金融機関は障害者にお金を貸してくれないのでは?と思いますよね。
でも生活福祉資金貸付制度で生活費を借りられないのであれば、それは障害者でも十分な収入があるからです。
それならば銀行や消費者金融からお金を借りることができます。
ただ健常者と同じようにというわけにはいきません。
どのようにすれば銀行や消費者金融から借りることができるのかをご紹介します。
障害者が金融機関からお金を借りるための条件
- 安定した収入があること
- 契約内容を本人が理解できること
- 単身世帯でないこと
安定した収入があることというのは健常者と同じですが、それに合わせて契約内容を本人が理解できているか確認されます。
視覚障害者の場合には契約書を自分で読むことができませんし、知的障害者の場合には、正しい判断を自分でできない可能性があります。
本人が自分の意志で、契約内容を理解した上で借りる。
これは健常者でも同じことがいえますが、障害者の場合には融資をする側が慎重に確認します。
また、障害者の場合には自宅内でも思わぬ事故などが発生する可能性がありますので、単身世帯ですと融資を断られる可能性があります。
障害の程度にもよりますが、家族の誰かと暮らしている方が融資を受けやすくなると考えてください。
障害者であることを秘密にして申し込んでいい?
障害者であることが借りにくい理由になるのなら、最初から障害者であることを秘密にして申し込みをしてもいいのでしょうか?
基本的には、申込み内容に健康状態を記載する項目がない場合には、あえて障害者であることを伝える必要はありません。
ただし、視覚障害や聴覚障害の方の場合には、申込み時に伝えておかないと、申し込みを進めていくことが困難になります。
例えば、金融機関から電話があったとしても聴覚障害で聞き取れない場合には、対応できませんよね。
視覚障害者のために点字の申込書や契約書を用意している金融機関もありませんので、こちらも申し込みのどこかで躓くことになります。
障害者であることを告げる必要はなくても、事前に告げておかないと審査を進められず融資を断られる可能性があります。
このため、障害者であることを告げるかどうかは、自分の障害内容と程度に合わせて判断してください。
障害者年金があるなら年金担保融資でも借りられる
もし、障害者年金を受け取っているのであれば、その年金を担保にお金を借りることができます。
これは年金担保融資といって、福祉医療機構が行っている貸付事業です。
金利は年2.8%と低金利で借りることができます。
- 生活必需品の購入は10万円~80万円
- 受給している年金の0.8倍以内
- 1回あたりの返済額の15倍以内
連帯保証人を立てる必要があり、なおかつ年金担保貸付は平成34年3月末で廃止されることが決まっています。
また、返済は年金から天引きされるため、借入額が大きくなると生活を圧迫する可能性がありますので注意が必要です。
低所得者世帯でないならカードローンを使う
障害者がお金を借りる方法についてご紹介してきましたが、どこから借りればいいのかという部分がやや複雑ですので、最後にその点についてまとめておきます。
- 障害者のための福祉資金は生活福祉資金貸付制度で借りる
- 生活費や趣味のお金はカードローンもしくは年金担保融資で借りる
- 生活費、福祉資金、教育資金は生活福祉資金貸付制度で借りる
障害者なら生活福祉資金貸付制度でお金を借りられると紹介しているサイトがありますが、市町村民税を課税するくらいの年収がある場合には、生活費も福祉資金で借りられるのは福祉資金だけです。
生活や趣味に必要なお金はカードローンもしくは年金担保融資を利用しましょう。
もし市町村民税が非課税になるくらいの低収入であれば、低所得者世帯として生活に必要なお金も生活福祉資金貸付制度で借りることができます。
ただし、給付ではなく貸付けですので無職の人や所得が低すぎる人には融資をしてくれませんので気をつけてください。