郵便局でお金を借りるというとあまりピンとこない人もいるかもしれませんが、都市部を少し離れると金融機関は郵便局のゆうちょ銀行くらいしか選択肢がないということが珍しくありません。
ゆうちょ銀行は民営の金融機関ですので、もちろん他の銀行と同じようにお金を借りることができます。
とはいえ、あまりイメージがわかないという人も多いかと思いますので、ここでは郵便局でお金を借りるために知っておくべき基礎知識についてご紹介します。
ゆうちょ銀行と他の銀行とではどのような違いがあるのかを見ていきましょう。
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このページでわかること
全国に24千以上の店舗がある郵便局。民営化して貯金部門がゆうちょ銀行になったことで、従来の担保型貸付のほかに、スルガ銀行のローンも取り扱っています。
ただし、スルガ銀行のローンは郵便局が仲介を行っているだけで、実際にはスルガ銀行からお金を借りることになります。
2019年以降にはゆうちょ銀行独自のローン商品の販売が予定されており、現在はその過渡期にあります。
スルガ銀行が行政処分を受けたこともありますので、金利が低く郵便局から借りられる担保型貸付なら問題ありませんが、それ以外の借り入れは、しばらく見合わせておくほうがよいでしょう。
郵便局ローンの基礎知識
郵便局は民営化以前から郵便・貯金・保険と取り扱っており、その貯金の窓口で定期預金や財形を担保にした貸付を行っていました。
これらの貸付は民営化してゆうちょ銀行になったあとも継続されており、担保があるため比較的借りやすいローンとなっています。
郵便局の民営化によってゆうちょ銀行になってからはスルガ銀行と提携しており、スルガ銀行のローン商品を、郵便局の窓口で販売しています。
これらのローンは一見すると郵便局で借りているようですが、実際にはスルガ銀行で借りている状態になります。
取り扱っているローンの種類と金利
郵便局で取り扱っているローンは6種類(新規申し込みできるのは5種類)あります。
- カードローン「したく」
- ホームローン「夢舞台」
- パーソナルローン「夢航路」
- 財産形成貯金担保貸付け
- 貯金担保自動貸付け
- 国債等担保自動貸付け
この6種類が郵便局で取り扱っているローンですが、無担保で借りられるのは上から3種類のみで、下の3種類は財形や定期貯金、国債を担保に貸付してもらうための商品ですので、担保となるものがない場合には利用できません。
カードローン「したく」
金利
7.000〜14.900%
郵便局で取り扱っていたカードローン「したく」は2018年10月31日で新規の受付を終了しました。
このため、現在はカードローンの取扱はありません。
ちなみにカードローン「したく」は郵便局ではなくスルガ銀行の商品で、郵便局の窓口で受付していたものです。
ホームローン「夢舞台」
金利
年1.320〜4.375%
ホームローンは郵便局が販売するスルガ銀行の住宅ローンです。
15種類の商品ラインナップがあり、個人事業主や女性、シニア世代などライフスタイルやライフステージに合わせた住宅ローンを選ぶことができます。
※スルガ銀行に行政処分が下されたことにより、本人が居住する面積が建物全体の二分の一を下回る住宅ローンは、2018年10月12日から2019年4月12日までの6か月間、取り扱いを停止しています。
パーソナルローン「夢航路」
金利
年4.975~14.900%
教育プランや自己投資応援プラン、オートプランなど利用目的が明確になっているケースで利用できる一括借り入れ型のローンで、8つの目的型ローンと1つの親孝行型ローン(家族の介護や福祉施設への入居資金)が用意されています。
財産形成貯金担保貸付け
金利
返済時の約定利率(%)+0.25%
財形(定額貯金・年金定額貯金・住宅定額貯金)を担保にして、預入金額に利子を加えた金額の90%相当の金額まで借入可能なローンです。借入期間は最長2年までとなっています。
貯金担保自動貸付け
金利
担保定額貯金を担保とする場合:返済時の約定金利(%)+0.25%
担保定期貯金を担保とする場合:預入時の約定金利(%)+0.5%
総合口座で管理された担保定額貯金や担保定期貯金を担保にして、預入金額の90%以内まで借入可能なローンです。通常貯金の残高以上の払戻請求があったときに、その不足分を自動的に貸付けしてもらえます。
国債等担保自動貸付け
金利
貸付時における預入期間1年の定期貯金の約定利率(%)+1.70%
こちらも通常貯金以上の払戻請求があったときに、不足分を自動的に貸付してもらえるローンです。ゆうちょ銀行や郵便局の貯金窓口で購入した国債を担保に、200万円を上限に国債の80%まで借りることができます。
ゆうちょ銀行と銀行のローンはどう違う?
ゆうちょ銀行は国営化していたころの名残があり、郵便局として取り扱っているのは3種類の担保型貸付のみで、その他のローンはスルガ銀行の商品を代理販売している形になっています。
ただし、この状態が続くのは2018年までです。
すでにゆうちょ銀行は無担保融資のサービス開始を2017年に総務省と金融庁に申請しており、2019年からは一般的な銀行と同じ自社の無担保のカードローンやフリーローン商品を発売開始予定です。
郵便局でお金を借りるメリットとデメリット
現在はカードローンの申し込みができない状態ですので、手軽にお金を借りることができない郵便局ですが、それでも利用するメリットはあります。
もちろんデメリットもありますので、それぞれのポイントを見ていきましょう。
メリット
- 借り過ぎを防ぐことができる
- 全国にATMや窓口がある
従来からある担保型貸付であれば、担保以上のお金を借りることができないため、債務整理が必要になるほど借り過ぎることがありません。
ホームローンやパーソナルローンも一括借り入れするタイプのローンですので、計画的な返済がしやすいのも大きなメリットです。
また、ゆうちょ銀行は全国に24千以上の店舗があるというのも強みです。これからゆうちょ銀行のカードローンなどが発売になったときに、全国どこにいてもATMが見つかりますし、引っ越しをしたときにも、ゆうちょ銀行を使い続けることができます。
デメリット
- 商品の種類が少ない
- 無担保ローンはスルガ銀行から借りているのと同じ
- 融資に時間がかかる
現時点でのデメリットは、商品の選択肢が少ないということです。
郵便局独自のローンは3種類しかなく、そのうち2種類は自動貸付を行うためのものです。
また、ホームローンとパーソナルローンはスルガ銀行の商品ですので、近くに郵便局しかない場合を除いて、あえて利用する必要もありません。
さらには、ホームローンとパーソナルローンは即日融資というわけにはいかず、審査には時間がかかります。
今すぐお金が必要というケースには使うことができないため、人によってはそれだけで選択肢から外れてしまいます。
ローン申し込みから融資開始までの流れ
スルガ銀行のローンを利用する場合も担保型貸付を利用する場合も、ゆうちょ銀行の窓口で受付を行っています。
担保型貸付の場合は、窓口に本人確認書類と定額貯金の通帳を持っていくだけ(担保定期貯金と担保定額貯金なら申し込みも不要)で、審査もなく融資を受けることができます。
スルガ銀行のローンを利用する場合には、申し込みをした後にスルガ銀行と保証会社の審査を受ける必要があります。
とはいえ、ブラックリストに入っていたり、安定した収入がなかったりするのでなければ、借入審査は特別に厳しいということもありません。
審査を通過し、契約に必要な書類を送れば手続きは完了します。スルガ銀行ゆうちょ専用支店に返済口座が作られますので、その口座を使って返済を行ってください。
ホームローンとパーソナルローンもスルガ銀行が行政処分を受けたこともあり、積極的な取り扱いを行っていない状態です。
このため、利用するときには必ず郵便局の窓口で利用についての相談をしてから利用しましょう。
郵便局のクレジットカードでキャッシングもできる
郵便局から借りるというのとは少し違いますが、郵便局が発行しているクレジットカード「JP BANK カード」を使えば、お金をかりることもできます。
利用するためにはキャッシング枠を設ける必要がありますが、ゴールドカードなら50万円まで借りることができます。
お金を貸してくれるのは郵便局ではなく、VISAやJCBなどのカード会社ということになりますが、郵便局が発行しているクレジットカードですので、そのような借り方もあるということも頭に入れておきましょう。
残念ながら、こちらも即日融資はできませんが、すでにキャッシング枠を設定したクレジットカードを持っていれば、すぐに借りることができますし、これから作る場合でも、最短で2〜3週間でカードを作ってもらえます。ゆうちょ銀行をメインバンクに使っているなら、キャッシング枠ありで作っておくと便利です。
ゆうちょ銀行の独自ローンができるまでは利用を控える
2019年以降はゆうちょ銀行のローン商品の販売が予定されていますので、これからが期待できる金融機関ですが、現時点ではスルガ銀行が行政処分を受けたこともあり、ゆうちょ銀行との関係がどうなるのか不透明な状態にあります。
このため、方向性が明確になるか、ゆうちょ銀行独自のローンが発売されるまでは、郵便局からの借り入れは控えておくことをおすすめします。
ただ、郵便局に財形(定額貯金・年金定額貯金・住宅定額貯金)がある場合には、それらを担保にお金を借りることができます。
担保となる貯金の範囲内でしか借りられませんが、借り過ぎを防ぐことも可能ですので、このような商品があることも覚えておきましょう。