銀行などの金融機関からお金を借りにくい属性のひとつが、自営業者などの個人事業主です。
自営業ですと収入が多い月もあれば、ほとんどゼロに近い月もあり、だからこそお金を借りたいときが多いのに貸してもらえない。
そういう悩みを抱えている自営業者も多いかと思います。
でも、自営業だからという理由だけでお金を貸さない金融機関はありません。
ちょっとした工夫や正しい借入先の選定をすることで、融資を受けやすくなります。
ここではそんな、自営業者がお金を借りる方法について詳しくご紹介していきます。
Contents
このページで分かること
自営業は事業の存続率がとても低いため、銀行は積極的な融資を行ってくれません。
このため、生活費などを借りるとなると、消費者金融のカードローンが適しています。
事業用途のお金を借りるなら信用金庫や信用組合のビジネスローンを活用しましょう。
いずれも審査がありますが、個人用途は小額の借入にしておくと審査に通りやすく、事業用途は事業計画書をしっかりと作って安定した収入をアピールできれば、融資を受けられる可能性が上がります。
このように、用途に応じて借入先を使い分けるようにしましょう。
自営業者はなぜお金借りるのが難しいのか
それではまず、なぜ自営業だとお金を借りにくいのかについて説明します。
銀行や消費者金融はお金を貸すときに審査を行いますが、いったい何を審査しているか知っていますか?
「年収」「個人信用情報」「現在の借金の額」いろいろ思い浮かぶかもしれませんが、正しいようで実は少し違います。
金融機関が審査しているのは「貸したお金を約束通り返すことができる人であるかどうか」ということです。
それを判断する要素のひとつとして、年収や個人信用情報を使っています。
では、どのような人なら審査に通るのでしょう。
- すでに安定した収入があり、これからも続く
- 個人信用情報に金融事故履歴がない(ブラックではない)
- 多額の借金を抱えていない
審査を通るための大事なポイントはこの3点です。
金融事故履歴の履歴は自営業者であるかどうかは関係ありません。
自営業が借りにくい理由は、1と3を満たしていない人が多いことにあります。
安定した収入がなく将来性も不透明
個人事業主の存続率は1年で約60%、10年ですと約10%というデータがあります。
開業して1年で10人に4人が廃業し、10年では10人のうち1人しか事業を継続できていません。
廃業したからといって必ずしも収入が途切れるわけではありませんが、これが自営業の実態です。
「うちは江戸時代から続いてるから」という人もいるかもしれませんが、そのように長い歴史のなかで事業を継続できるのはレアケースです。
基本的には自営業者は数年のうちに廃業するというのが、少なくともお金を貸す側としての認識です。
ほぼ廃業すると分かっているのに、お金を貸すのはかなりリスクが高いですよね。
金融機関は返済されないというリスクを最も嫌いますので、自営業の個人事業主がお金借りるのは難しくなっているというわけです。
事業で借金を抱えている
事業の内容にもよりますが、無借金経営の自営業というのは少数派ですよね。
設備投資や仕入れなどにすでにお金を借りているという人も多く、その金額が数千万円というようなケースも珍しくありません。
建前としては、個人の財布と事業の財布は分かれていますが、自営業の場合には事業の借金も個人の借金とほぼ変わりません。
もし事業として100万円の借金があったとしても、金融機関からしてみると使用用途までは分からないため、個人の借り入れと判断されることがあります。
さらに、ビジネスにおいて良い借金と悪い借金がありますが、これも金融機関からするとどちらなのか分かりません。
悪い借金の可能性が少しでもあるなら、個人用途であれ事業用途であれ追加の融資は避けたいというのが金融機関の本音です。
もちろん無借金経営をしているなら問題ありませんが、多くの自営業者がすでに借金を抱えているため、一般論としてお金を借りるのが難しいとされています。
自営業者がお金を借りる方法
ここまでの説明ですと、自営業者がお金借りるのは絶望的に思えますが、もちろん絶対に借りられないわけではありません。
実際に融資を受けている人もいますので、大事なのはポイントを抑えて融資を受けやすい場所から借りるということです。
個人用途は消費者金融のカードローンを利用する
自営業者は借りにくい属性であることは間違いありません。
このため融資条件のハードルが高い銀行で申し込みをしても、高確率で審査落ちします。
このため、自営業でお金借りるなら消費者金融のカードローンがおすすめです。
もちろん、消費者金融でも審査が甘いわけではありません。
ただ、銀行よりも金利を高くすることで、多少リスクがある貸付けも行っていますので、借入先としてはこちらがおすすめです。
借りるときのポイントは、可能な限り小額にするということです。
例えば10万円の借り入れなら、10ヶ月あれば返済可能ですが、100万円となると完済まで数年かかります。
廃業リスクを考えたとき、どちらが借りにくいかは容易に想像つきますよね。
3年かけて100万円を返すと言っても、3年後に事業が続いている確率は50%以下ですので、当然融資を断られます。
でも10ヶ月後ならリスクは低いですし、何よりも10万円くらいなら、なんとかして工面できる額ですので、自営業でも融資を受けられることもあります。
個人用途で借りるのであれば、このように借りやすい場所から借りやすい額で融資を受けるようにしましょう。
小額では足りないという場合には、2〜3社までなら分散しての借り入れもおすすめです。
ただし、同じタイミングで申し込みすると審査落ちしやすいので、1社ずつ申し込みをしてください。
ちなみに消費者金融の金利は年3.0〜18.0%ですが、小額の借入の場合には18%が適用されますので、金利が高いということも頭に入れておいてください。
事業用途は信用金庫や信用組合のビジネスローンを使う
事業用途で使うお金はカードローンではなく、ビジネスローンを使いましょう。
カードローンで借りたお金を事業用途で使ってはいけないというのもありますが、事業で使うまとまった金額のお金を、自営業者がカードローンで借りるのはまず不可能です。
カードローンは自営業であるというだけで融資を嫌がりますが、ビジネスローンは自営業の中身までしっかりと見てもらえます。
健全経営をしていて、将来的にも確実に稼げるということが伝われば、高額な融資もしてもらえます。
ただし、ビジネスローンを借りるには事業計画書などが必要になり、審査も時間がかかります。
さらには銀行や消費者金融のビジネスローンは、金利がカードローンとそれほど変わりません。そのうえ銀行の審査が厳しいのは言うまでもありません。
個人事業主が借りるのであれば、信用金庫や信用組合のビジネスローンを利用しましょう。
信用金庫や信用組合は非営利組織で、地元の活性化のための融資を積極的に行ってくれます。
会員になる必要がありますが、自営業者でも借りやすく、低金利で融資を受けられます。
公的な融資も検討しよう
事業用資金であれば、公的な融資を利用するという方法もあります。
自営業などの個人事業主が利用できる公的な融資としては下記の2つがあります。
- 日本政策金融公庫
- 中小企業制度融資
いずれもかなりの低金利で融資を受けることができますが、融資内容ごとにかなり細分化されており、どれを利用すべきか自分で判断するのが難しいというデメリットもあります。
公的融資を利用したい場合には、まずは相談することから始めましょう。
返済は遅れることなく確実に行うこと
なぜ自営業者がお金を借りにくいのか、そしてどこから借りるべきなのかについて説明してきましたが、最後に重要なポイントをまとめておきます。
- 個人用途は消費者金融のカードローンを利用する
- 事業用途は信用金庫や信用組合のビジネスローンを利用する
大事なのはこの2つをきちんと分けて考えるということです。
そのうえで、個人用途の場合には借入希望額をできるだけ小さくすることで、融資する側のリスクを下げるようにしましょう。
ビジネスローンの場合には事業計画書で健全経営であることをしっかりアピールしてください。
そして、借りたらそこで安心するのではなく、完済まで滞納することなくコツコツと返済を続けてください。
ただでさえ借りにくい属性なのに、信用を失うとどこからも融資を受けられなくなってしまいます。
反対に、きちんと約束通り返済すれば信用が高くなり、今後の借り入れがしやすくなります。
またいずれお金が必要なときのために、確実な返済を心がけましょう。